バブリーミルキーソープオペレッタ
そうそうそんな感じ、とミスタはなんども
マリエにポーズを取らせてはホースで水をかける。今日は暑いから洗濯物もきっとはやく早く乾くねと午前に
マリエは言ったけれど、まさか車を洗うことになるとは思ってもいなかった。
マリエにとっては十分に大きい、いつもこういう屋外の家事をするときに着ているミスタのTシャツではなく、いつだか昔に買って失敗したサイズアウトしているぴちぴちのTシャツを着させられているのも気に入らなかったけれど、陽の暖かさと水の冷たさははっきり言って気持ちがよくて、ミスタの仕事にたまに使うとかいう絶対に乗せてくれない黄色いアルファロメオを洗うことだっていつのまにか許す格好になってしまっていた。真夏のビーチよりかは服を着てはいるけれど、これ以上ないほど肌と服が密着している機会なんてさらさらない。ラジオは延々と山を上るジロ・デ・イタリアの中継をしていたけれど、こんなに暖かい日に北の人たちは雪が降っているなんてかわいそうだとすら
マリエは思っていた。ミスタは相変わらず暑そうな帽子を脱がないし、それでなくとも携帯を片手にしょっちゅう座り込むのでその点は腹がたったのだけど。延々と話しかけてもそれにはきちんと会話として返してくれるので怒るにも怒れずに
マリエは手に持ったスポンジでミスタの頭に洗剤の泡が当たらないかと5分おきに試していた。結果は一度も当たらずに1mほどで床にへばりついてしまうのだが。
「もーミスタァ一緒に車洗おうよォ」
「悪い悪い、もーちょっと待ってな」
「今日それ何回言ってると思ってんのォ?」
もう一度泡をつくってミスタの方向に投げる。もちろん届かずにそれはミスタから随分手前に落ちてしまったけれど、振りかぶった
マリエに気付いてかミスタはその一部始終を見て笑った。落下地点の周辺に点々と散らばる泡をみて、へったくそ!とミスタは声を上げた。
「ミスタが相手してくれないからなんだから!」
「ばっか、仕事してんだよ俺ァ」
でももう終わったからな、とミスタは携帯電話をラジオの近くに放り投げて水道に繋がるホースを再び手にとって
マリエの方に水を向ける。ウォーターノズルが勢い良く泡まみれの
マリエに掛かって、その水圧と温度にきゃあきゃあと彼女は声を上げてそれを非難する。ミスタ冷たいってば!お前構えって言っておいてそりゃねえだろ!ミスタは一歩一歩そのきゃあきゃあと水を避けようと車の影に隠れる
マリエに消防士みたいに詰め寄ってふざけて声をかける。
「大丈夫ですかァー!燃えてる子はどこだー?」
「燃えてないし似合ってないよ!」
ドアの影にしゃがんでいた
マリエはその声に立ち上がって抗議をする。その位置を最初から知っていたミスタは出てくるだろう胸の位置に合わせてノズルを向けていたから、再び
マリエはずぶ濡れになってしまう。もーミスタのばか!すっかり泡まみれからその泡を取られて濡れてびしょびしょの衣服のまま
マリエは手を伸ばせばくっつく距離まで迫ってきた消防士ミスタにスポンジを投げる。それをひょいとミスタは交わして捕まえた、ともう一度ノズルのトリガーを引いて
マリエの左胸を濡らす。
「哀れな
マリエの負けだな」
「ミスタは飛び道具なのがずるい」
「いやお前だって泡投げてたろ、下手くそだったけど」
スポンジを取りにミスタの伸ばした腕を
マリエは潜ろうとするけれどもそれもかなわず、再び車とミスタの間に収まってしまう。濡れた衣服の冷たさが温まった車の表面でより際立って、自分の喉からいつもより驚いた声が出たのをミスタは再び笑って
マリエの首をノズルの先で撫でた。
「ミスタの服も濡れちゃうよ」
「いーや、濡らされちまったから脱ぐしかねえな」
「やだぁ私も……ってさすがに脱げないわ私は」
「脱がない方がセクシーだけどな」
もー、やだミスタ。ふざけきってかすかに表面が濡れたシャツをミスタは脱いで車の屋根に乗せる。まだ泡があった気がする、と
マリエは振り返ってその先を見ようとするけれども喉のノズルはそれを許してくれなくて、上を向いたままの姿勢で止められた唇に身を乗り出したミスタの唇が降ってくる。そのへんな帽子も取っちゃえばいいのに、と思って
マリエは腕をミスタの頭に伸ばすけれども、ミスタはそれを了承の合図と誤解したのか息を継いではさらに舌を滑り込ませてきた。
「ミィスタ」
「外でするのも悪かないだろ」
「やだぁ恥ずかしいって」
でもやじゃないだろ。ミスタは床に水のホースを落としてその手で
マリエの肌に貼りつくTシャツの裾をめくる。ぴったり張り付いていた布と肌の間に空気が入り込んで触られてもいないのにぞわぞわしてしまった。その反応をもう片方の手で私を車に留めるミスタは愉しげに口笛を吹く。
「思い出した」
「なあに?いきなり」
ミスタは裾をめくるのに飽きたのか今度は上から、
マリエの胸元に指を突っ込んではそこをひっぱって空気を入り込ませる。ぴちぴちのTシャツを覗くことも忘れない。覗きこむミスタの帽子を
マリエはこの機会にと引っ張って床に放ってしまう。泡と水の交じるなかに沈んだ帽子、もしかしたら怒られるかもしれないけどきっと今日中に洗えば乾くから大丈夫、なはず。
「俺が一番最初に買ったプレイボーイ、プレイメイトが全裸で洗車してたんだよ」
「うわぁ、私にそれさせたいの」
「やってくれるなら嬉しいけどよォ、それにはちょっとばかしいろいろ過不足があるんじゃねえかな」
こことかこことか。ミスタは過不足を指摘するように再び張り付いたTシャツの上から
マリエの体の問題を指摘する。プレイメイトと比べられてはたまったもんじゃない、と
マリエはそのミスタの手を掴むがミスタは全く悪びれずにでも
マリエだって十分セクシーさ、と鼻先を噛んで囁いた。
「ミスタがそんなこと言うなら私脱ぐから」
「おおいいねえ、でも脱げないだろそれ」
「ぴっちぴちよ」
そうだなァどうしようか、と彼は口でこそ迷っていたけれど、その次の瞬間には
マリエの胸元に突っ込んだ指を両手に増やしてそれを左右に破っていた。ぽろんと溢れ出る
マリエの胸元に、これで解決だなァとミスタは全く悪びれずに豪快に笑って
マリエの下着すら取り払おうと両手で胸の中身をさらう。おどろいて背中の車の曲線に従って地面に腰をおろしそうになる
マリエをミスタは片足で支えててきぱきと下着を外しては、随分位置の下がってしまった彼女を起こして窓の上に押し倒してやわらかい膨らみを吸う。ここが人も来ない丘の上の隠れ家だからいいものの、いつものアパートの裏通りでやっていたら確実に性犯罪で通報されていたと思う。ミスタはやっぱりプレイメイトよりかはこういうアマチュアめいた表情の方がぐっとくるし、それに何より開放感は必要だなと妙に納得しながら車体の黄色に生える
マリエの髪をぐしゃぐしゃにまとめて、半開きで自分の名前を呼んだきりの
マリエの唇をもう一度吸い上げた。
マリエは、ミスタが見る限りでは薄暗いベッドの上よりかは幾らか大胆に、ちょっと惚けた目でミスタの目を見つめ返しては彼女のお気に入りのミスタの腕の筋肉を指でなぞる。やっぱり泡だらけのカジュアルにセックスアピールをするプレイメイトよりかは、こうしたちょっとしっとりして甘美な仕草をする恋人が一番だ。あとで謝ろうとグイード・ミスタは思いはするけれども、きっと忘れてしまうのだろうと思いながらティーンエージャーみたいな
マリエのホットパンツに手をかける。白のホットパンツにブルーのシャツなんて、わかってやってたとしか思えない取り合わせだけれど、それにしちゃあうっすい腰だ。ボタンをはずしてジッパーをおろして、全然脱げない濡れたホワイトジーンズに焦れながらミスタは再び
マリエの胸を噛んだ。自分の唾液の残るところだけはきらきら
マリエの肌の上で光っていて、
マリエは残骸みたいな服を脱ごうともがいてはそれを地面に落としていた。
「ミスタぁ自分で脱ぐ」
「俺が情けないみてえだろ、それ」
「でも現にそうじゃん」
破ってもいいよ、と言いつつも
マリエはミスタの首に手を回して腰を浮かせて片手で脱げかけのホットパンツを下ろす。ブラジャーとお揃いの明るい花柄が再び車の黄色の上に咲いて、足先に落ちたホットパンツを
マリエは蹴って地面に投げた。ミスタは自分のベルトをカチャカチャと外してそれに続いて、花柄の入り口に再び指を掛けた。あっついねえ、と車体の温度か、気温か、どちらを指しているのかわからない発言を
マリエはしてミスタの胸に顔を寄せる。指先が筋肉を辿って傷跡を撫で、それから申し訳程度にミスタの下着に掛かっても、彼女はミスタにされるがままに花園が破られるまでその続きをするのを待っていた。
20160109 chloe,